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漫画家・赤松健さんに聞いた、「海賊版サイトをつぶす唯一の方法」

漫画家・赤松健さんに聞いた、「海賊版サイトをつぶす唯一の方法」

 

■□記事抜粋:ITmedia□■

「海賊版サイトをつぶす方法は、ブロッキングでも広告収入を断つことでもない」――「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などのヒット作で知られる漫画家の赤松健さん(日本漫画家協会理事)は、こう話す。

漫画市場に大きな被害をもたらしたとされる海賊版サイト「漫画村」(今はアクセス不可)が社会問題化し、対抗策として「ISPによるサイトブロッキング」や「運営資金のもとになる広告収入を断つ」といった提案がされてきたが、いずれも回避方法があるためあまり有効ではないという。今でも海賊版サイトと権利者のいたちごっこは続き、根絶には至っていない。

絶版本を中心に5000冊以上の漫画を無料配信するサービス「マンガ図書館Z」を運営するなど、これまで漫画業界発展のためにさまざまな活動をしてきた赤松さんは、「海賊版サイトには技術で勝てる」と豪語する。

 

赤松さんの考える「海賊版サイトをつぶす唯一の方法」とは。漫画業界の現状についても聞いた。

 

海賊版サイトなくてもコミック売上伸び悩み

――(ITmedia村上) 全国出版協会が2月26日に発表した2017年のコミック市場統計では、紙と電子を合わせたコミック市場規模(推定販売金額)は前年比2.8%減の4330億円と、ピーク時の95年5864億円の4分の3ほどになっている。ここ数年は市場規模が横ばいだが、漫画家としてコミックの売上にどこまで海賊版サイトが影響していると感じているか。

コミック売上の初版は、ピーク時の3分の1くらいに落ちたという体感。業界全体が伸び悩んでいるので、海賊版サイトだけの影響ではないだろう。ただ、海賊版サイトが追い打ちをかけて「もうコミックを買わなくていいんだ」という常識ができてしまったのは問題だと思う。

私のように紙(コミック)が売れている漫画家はまだいいが、Webで連載している若手漫画家はそもそも紙を刷ってもらえない。(収入源が限られているので)そういう人は、漫画をスキャンされたり、電子データをキャプチャーされて勝手にアップロードされたりすると被害は大きい。

海賊版の配信は早く、画質も良い。例えば「週刊少年マガジン」は水曜日発売だが、海賊版は(前週の)土曜日には配信されている。これは配送業者が原因だが、全部の雑誌を管理するのは難しいだろう。

 

―― 絶版本を中心とした無料漫画配信サービス「マンガ図書館Z」は「電子書籍版YouTube」を掲げ、さまざまな作品を収集することで海賊版サイトや外資サービスへの対抗としても機能してきた。絶版本や単行本化されていない作品についても、海賊版の被害は深刻か。

(1)絶版本や単行本化されていないもの、(2)エロ漫画や二次創作同人誌、は海賊版の天下。前者は出版社もコストパフォーマンスの問題で電子化できない。後者は、海賊版なら無修正で出せるので圧倒的に強い。同人作家も二次創作の特性上(原作者に無断で二次創作している、権利者として認められるのかなど)、海賊版サイトを訴えることは少ない。

公式が何もせず、海賊版サイトでしか見られない作品があるならそこに行ってしまうのは分かる。なので、絶版本などの過去作品についてはマンガ図書館Zに集約している。読者にとっては過去作を読めるメリットがあり、作家にとっては(1)過去作からの広告収益や読者の反応が得られる、(2)現在の作品への流入につながる、といったメリットがある。公式で作品を配信できれば読者は見に来てくれる。

 

海賊版サイトつぶす唯一の方法は「国産の便利な公式サービス」

―― では、現在連載中の作品についても、さまざまな作品を横断的に購入・閲覧できる公式サービスの提供が有効なのか。ISPによるサイトブロッキングや、広告収入を断つといった対策も提案されているが、それについてはどう考えているか。

サイトブロッキングも広告収入を断つ方法も、回避策があるのであまり意味がない。海賊版サイトをつぶす唯一の方法は、出版社横断の公式で便利な漫画プラットフォームを提供すること。海賊版にできて公式でできないのは悔しくてたまらない。漫画村でそういったサービスに需要があることは分かったので、その層を獲得できればいい。音楽の定額ストリーミングサービス「Spotify」のような定額制読み放題サービスなどがいいだろう。

 

―― なぜ、出版社横断の公式サービスは実現しないのか。それについて何か出版社と話し合いはしたか。

出版社は苦しんでいるように見えるが、やはり自社作品の囲い込みが優先なので、よほど市場をめちゃくちゃに破壊されない限り横断サービスの実現は難しいだろう。海賊版サイト対策に注力する出版社もあるし危機意識もあるだろうが、実際は特に動きはない。

表現の自由を守るために、国産プラットフォームが望ましい。AppleやGoogleなどはポルノ表現に厳しいが、こちらからすると基準が不明確で何がいけないのか分からない。日本作家と出版社主導のプラットフォームを作れば表現の自由は保たれる。外資への対抗も合わせて考えるべきだ。

 

―― 公式サービスを実現する方法はあるのか。「出版社と作者が共同で漫画村(のような仕組み)を作り、収益を作者と出版社に正しく分配するシステム」の実証実験を出版社と行うとツイートしていたが、それはどういったものか。

実証実験については5月にリリースを出す(報道発表する)予定で、まだ内容を固めている状態(プロトタイプを取材時に拝見)。われわれは絶版本を中心に扱っているので、まずは過去作からじわじわ崩していくしかない。Amazonに対抗できるようなサービスにしたいが、5~10年スパンの作業になるだろう。

純粋な横断ではないが、例えば横断型リーチサイトならできるかもしれない。「BookLive!」「eBookJapan」などの電子書籍サービスが相互に乗り入れ、1つのアプリでいろんな作品の購入・管理ができるもの。共通の助け舟的なシステム。

例えば、「進撃の巨人」が読みたいなら、アプリ内検索すればBookLive!でもeBookJapanでも購入・閲覧ができて読者が好きなサービスを選べるイメージ。今でも毎年電子書籍サービスがつぶれたというニュースを聞くが、恥ずかしいし情けない。

他はみんなうちはつぶれないと思っているだろうが、困るのは読者なのでそこは大人になってほしいし、APIも公開してほしい。そこにAmazonが参加すればわれわれの勝ち。例えばうちのアプリ1つでそういったことができるようになるといいが。

海賊版サイトにはモラルと技術で勝てる。いや、技術だけで勝てる。便利なものがあればユーザーはオフィシャルなものを使う。最近はメディアの報道もあり、「漫画村で読みました!」と言ってくる人はさすがに減ってきたのでモラルも上がってきたと思う。

 

育成は出版社、流通はWeb・アプリ漫画会社

―― 先ほどの全国出版協会の発表では、17年のコミック市場は電子が紙の売り上げを上回るなど、業界も過渡期を迎えている。最近はWebや漫画アプリ出身の漫画家も増えてきたが、業界自体の変化をどう感じているか。

従来の出版社とWeb漫画会社でそれぞれ特徴がある。作家の育成機能は出版社が強い。今では即戦力を求める傾向があるが、紆余曲折を経て連載にたどり着いたり、徐々にステップアップしたりという経験はWeb漫画ではなかなかできない。

逆に、Web漫画会社はどうすれば漫画がさらに読まれるかの手法を研究するのが得意。「どの表紙が一番読まれたか」「どこに広告を置けばいいのか」などを分析している。アプリストアランキングでは、「LINEマンガ」や「ピッコマ」など韓国資本の漫画アプリが人気だが、売り方がうまいのでそこは見習うべき。出版社は今までの見せ方に固執している所がある。

Web漫画や漫画アプリ会社は流通や宣伝を支援するエージェントに近いかもしれない。新人作家は出版社でしっかり育ててもらい、自分でしっかり作品を描ける人はWeb会社を頼るといいだろう。自己プロデュース能力の高い作家もいるが、そうでない人がほとんどなのでエージェントは需要があるはず。出版社とWeb漫画会社が組むと良いだろうが、お互いの作品を抱えているのでそれも難しそうだ。

 

―― 赤松さん自身は、今後マンガ図書館Zを通してどんな活動をしていきたいか。

私はアーカイブ主義なので、全ての作品をアーカイブして、全ての作品を検索対象にしたい。一冊漏れなく、古い作品もデータ化して後世に正しく伝えたい。原作者に許可を取って、二次創作同人誌やコミケの見本誌なんかも全て保存したい。コミケの見本誌なんかは大きな倉庫に保存されているが、突然施設が使えなくなって一気に処分なんてことになると泣くに泣けない。

直近では、今月リリース予定の出版社との実証実験で良い結果を出し、他の出版社でも横展開できれば。これまで育ててもらった出版社や編集者、コミックを買ってくれた読者への恩返しをしたいので、これからも漫画業界のために活動を続けていく。

 

 

 

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情報源: ITmedia

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