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海賊版より魅力的なサイトを 一歩先行く「アダルトコミック業界」に学ぶ

海賊版より魅力的なサイトを 一歩先行く「アダルトコミック業界」に学ぶ

 

■□記事抜粋:ITmedia□■

出版社横断の使いやすい公式プラットフォームを立ち上げるべき――これは「漫画村」をはじめとする海賊版サイトへの対抗策として、しばしば挙げられる案の1つだ。しかし、現状は各出版社の漫画アプリやサービスなどが乱立しており、ユーザーにとっては決して使い勝手がいいといえる状況ではない。

出版社を横断する漫画のポータルサイトについては、講談社の広報室長がITmedia NEWSの取材に対して「他の出版社と非公式に話をした人間もいるが、具体的な仕組みを描くまでには至らず、なかなか話が進んでいないのが実情」と言及。問題意識はあるものの、課金の仕組みや立て付けなどを含め議論すべきことが多く、難航しているという。

漫画版「Spotify」や「Apple Music」(定額制音楽ストリーミングサービス)を求める声も少なくない。漫画と音楽ではコンテンツの性質や消費の仕方、前提とするマーケットの大きさが異なるが、参考にできる部分もあるだろう。

一方、アダルトコミック業界に目を向けると、日本市場向けに定額制アダルト漫画読み放題サービス「Komiflo」が提供されている。ワニマガジン社、コアマガジンなど、出版社横断で連携しているのが特徴だ。

4月23日にイベントスペース阿佐ヶ谷ロフトAで開催されたイベント「海賊サイトによりマンガ文化が壊される!作家が生き残る方法とは?」に登壇した、美少女コミック研究家で「エロマンガ表現史」などの著書で知られる稀見理都(きみりと)さんは、「アダルトコミックは特別な業界で、一般的な漫画の枠に入らない例がある」と前置きしながらも、「Komifloは実際に出版社横断で定額読み放題サービスを提供している。(一般の漫画出版社も)参考にできる点はあるかもしれない」と語った。

イベントでは、「出版社が海賊版サイトをうまく取り込めるといい」という案も。実際、日本作品を無断でアップロードしていた海外サイトに日本企業が声を掛けて公式パートナーにしてしまった例として、米国のアニメ配信サービス「Crunchyroll」(クランチロール)や中国の動画共有サイト「bilibili」(通称、ビリビリ動画)、アダルトコミック配信サービス「FAKKU」などが挙げられる(いずれも国外向けサービス)。

しかし、海賊版サイトは運営やドメイン、サーバなどが海外であることも多く、悪質なサイトの場合はそもそも取り合ってもらえない可能性もある。

日本の漫画市場はどうなっていくのか。海賊版サイト対策にまい進し、一歩先を行くアダルトコミック業界から学べることは。Komifloに聞いてみた。

 

エロ読み放題は「現実的な代替案」

「定額読み放題サービスは、海賊版サイトへの現実的な代替案」――ITmedia NEWSの取材に対し、Komifloはこう答えた。

Komifloは、2016年設立のKomiflo(東京都新宿区)が提供する月額980円(税別)の成人向け漫画読み放題サービスで、「立ち上げには、出版系含むいくつかの企業が関わっている」という。

「COMIC快楽天」「COMIC失楽天」「COMIC HOTMILK」などの成人向け雑誌の他、成人向けコミックを配信する。決済手段はクレジットカード。AppleによるiOSアプリの審査がアダルトコンテンツに厳しく、日本の配信業者を長年悩ませてきたが、KomifloはPCやスマートフォンのWebブラウザ向けサービスとして提供している。

同社は「広告に左右されない、安価な値段で快適に漫画を読める場が必要だった」とし、「たとえ海賊版サイトがなくても漫画の楽しみ方は紙からWebに移行しており、コンテンツを届ける新しい方法は不可欠だった」と会社の設立背景を語る。

海賊版サイト撲滅にも積極的だが、日本をはじめほとんどの国の著作権法では、権利者(または代理人)が告訴しない限り起訴できない「親告罪」が採用されており、通告・報告の手段には限界がある。

ちなみに、12年ごろ話題になった環太平洋連携協定(TPP)の交渉では、米国の提案に「著作権侵害の非親告罪化」が盛り込まれていた。コミケなどで販売される漫画同人誌は対象外とされたが、同人誌時代を経てデビューした売れっ子漫画家も多く、当時は「エロ系パロディーの二次創作は駆逐されてしまうのでは」と非親告罪化に慎重な声も多かった。

漫画「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などのヒット作で知られる赤松健さんは、作者が二次創作を公認する意思を示す「同人マーク」を発案していた。しかし、17年1月に米トランプ大統領がTPPからの離脱を決めたことが分かり、この議論はいったん白紙に。望ましい知財の在り方については、引き続き議論が続いている。

Komifloに話を戻そう。直接的にできる対策は限られているが、「魅力的で使いやすい公式サービスを提供することで、日本のユーザーは応えてくれる」というのが同社の考えだ。

海賊版サイトには、ウイルスや個人情報流出のリスク、執拗(しつよう)に追いかけてくる煩わしい広告の存在など、セキュリティ上の危険も多い。「リスクが多いのに、ほとんどのユーザーは無自覚に『何となく』利用している現状がある。安全で便利な公式サービスがあればユーザーは徐々にそちらに流れるのでは」(Komiflo)

「海賊版サイトによってモチベーションをなくす作家もいると聞く。Komifloの影響はまだ小さいと思うが、利用可能なサービスの改善・拡大に務め、そういった問題を未然に防いでいきたい」(Komiflo)

また、成人向け漫画は同人文化との関わりも深い。

稀見さんは、「エロ漫画はコミケなど同人文化と並行してやっている特殊な世界」と話す。同人誌の世界では「dropbooks」(ドロップブックス)という大手海賊版サイトがある。「同人誌の場合、違法サイトと個人で戦わないといけない。海外配信や削除サポートなどをするエージェントの需要はありそうだ」(稀見さん)

 

これからの出版社、漫画家はどうなる

出版社横断の大規模な漫画ポータルサイトを作る場合、日本市場だけをターゲットにするとマネタイズは難しいかもしれない。

イベントでは、フリーランス編集者で「マガジン航」編集発行人の仲俣暁生さんが「機械翻訳の技術も進んでいるし、日本での発売と同時に公式の翻訳版も海外に同時配信するくらいじゃないと厳しいのでは」と語った。国によってポルノ表現に関する考えや法解釈も異なるため、国産プラットフォームでコントロールするのが望ましいだろう。

元出版デジタル機構会長の専修大学 植村八潮教授は、「従来の出版社の役割をITでどう代替するか、その仕組みを考えるのもいいかもしれない」と話す。

植村教授は、かつて出版デジタル機構会長として各出版社の著作物をデジタル化する活動に全力を注いできた。「オールジャパンでやれないかと思い、中小企業も乗っかってこれるような電子書籍プラットフォームを作りたかった」とし、「各社との調整作業が大変で、もう1回やれといわれても無理なのでやりたくない」と苦笑しながら当時の苦労を振り返った。

今でも電子書籍は紙の本と同時発売されなかったり、そもそも電子化されていなかったりするベストセラーも少なくない。契約形態、制作・流通システムの違い、電子化のコストなど複数の問題が絡み合っているのも一因だ。国内では多数の電子書籍サービスが登場し、閉鎖していった過去もある。

Komifloが言うように、海賊版サイトがなくても漫画産業自体が変化している以上、出版社や漫画家は変革を余儀なくされている。電子書籍を容易に「セルフパブリッシング」(個人出版)できるAmazonのKDP(Kindle Direct Publishing)を試みたり、自ら無料電子漫画サービスを運営したりと、自ら模索を続ける漫画家たちも多い。

そんな中、赤松健さんがNHKの番組「クローズアップ現代+」出演直後の4月18日に、Twitterで「海賊版に勝てる画期的な解決法」とし、「出版社と作者が共同で漫画村(のような仕組み)を作り、収益を両者に正しく分配するシステムの実証実験を行う」とツイートした。

 

 

 

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情報源: ITmedia

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