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GameWithだけではない「企業型ゲーム攻略サイト」の闇 かつて攻略記事をパクられたライターが考える“構造的問題”とは

GameWithだけではない「企業型ゲーム攻略サイト」の闇 かつて攻略記事をパクられたライターが考える“構造的問題”とは

 

■□記事抜粋:ねとらぼ□■

大手ゲーム攻略サイト「GameWith」が、他サイトの情報をもとに記事を作成していた件で(関連記事)、いわゆる“企業型ゲーム攻略サイト”への不信感が広がっています。ここ数年で急速に存在感を増してきた“ゲーム攻略サイトビジネス”の問題点について、個人ゲームサイト「ゲームキャスト」管理人のトシ(@gamecast_blog)さんに話を聞きました。

 

勢いを増す「企業型ゲーム攻略サイト」

“企業型ゲーム攻略サイト”とは、その名の通り企業が組織的に運営する一連のゲーム攻略サイト群のこと。話題になったGameWithをはじめ、Game8、GAMY、アルテマなどさまざまなサイトがあり、スマートフォン用ゲームの市場拡大に伴って、これらの攻略サイトもここ2~3年で急速に勢いを増しています。

今回お話をうかがったトシさんは、自身のサイト「ゲームキャスト」を運営する傍ら、2011年ごろから趣味で複数のゲーム攻略サイトを運営していました。ところがこうした「企業型攻略サイト」が乱立するようになるにつれ、コピー被害に悩まされるようになり、ついには攻略サイト運営を断念してしまったといいます(関連記事)。また一時はライターとして企業サイトの運営にも関わりましたが、そこでは「他のサイトを見て書け。みんなやってる」といった指示も平然と行われていたそうです。

こうした“企業型攻略サイト”を巡っては他にも、「攻略情報の薄さ」「間違いの多さ」「内容の薄いページの大量生成による検索汚染」などさまざまな問題が指摘されています。企業の参入によってゲーム攻略はどう変わってきたのか。トシさんはこれまでを振り返りつつ、「攻略サイトという『好き』の世界に、企業の理屈を持ち込んでゆがみが目に見えてきているのが今の状況」と語ります。


「パズドラ究極攻略」の成功が業界を変えた

―― トシさんが攻略サイトを運営していたのはいつごろですか。

トシ:
2010年~2014年くらいまでです。2012年に「パズル&ドラゴンズ」が登場して状況が激変するんですが、それより前は「Kingdom Conquest」(2014年にサービス終了)とかが流行していて、自分も趣味で攻略Wikiを運営していました。幸いにも多くの人が利用してくれて、一番盛り上がった日は1日で約70万PV(ページビュー)くらいありました。

―― 個人で運営していて1日70万PVはすごいですね。収益はあったんですか?

トシ:
いえ、広告を入れていなかったので自分には1円も入っていませんでした。自分にとって「Wikiを作る」というのは1つの遊びで、みんなでデータを集めたり、掲示板で語り合ったりしながらゲームを掘り下げて好きなゲームをより深く楽しむ行為だったんです。

このころはゲームがリリースされると同じようなWikiがいくつか立ち上がって、最終的には人気のあるところが生き残って他は淘汰される、というパターンが多かったですね。作っているのもほとんど個人で、企業はまだ参入していなかったと思います。

―― 企業が攻略サイトに注目しはじめたのはいつごろからだったんでしょう。

トシ:
大きな転機になったのは、AppBankがはじめた「パズドラ究極攻略データベース」だと思います。これは僕も立ち上げに関わっていて、「Kingdom Conquest」の経験から「次はこれが来る」という予感が強くありました。結果、「パズドラ究極攻略データベース」は「パズドラ」のゲーム内からもリンクしてもらったりして、ガンホー公認の攻略サイトとして大成功します。

―― 僕も「パズドラ究極攻略データベース」は時々見ていました。「公認攻略サイト」のはしりですね。

トシ:
で、これがとんでもないPVをたたき出します。そうすると、それを見ていた企業やアフィリエイターが「攻略サイトはお金になる」ということに気付く。ちょうどパズドラのヒットでいわゆる「パズドラ系」ゲームが乱立していたし、そういった情勢の変化も追い風になったと思います。

ゲームがリリースされる前から攻略サイトのドメインを取っておくような動きが出てきたのもこのころからで、このへんから僕のところにも、企業からゲームサイト立ち上げの相談がちらほら来るようになりました。AppBankに先を越された他の企業が、「まだ追い付ける」と急いでゲーム攻略サイトに参入しようとしはじめたわけです。

―― 「パズドラ」のヒット後ですから、2012年~2013年ごろですか。

トシ:
そうです。ただ、当時は「アプリゲームメディアはすごい可能性を秘めている」という流れの中にあり、形態はさまざまでした。プレイヤーのコメント掲示板として盛り上げるもの、当時はまだ少なかったアプリゲーム専門サイトを作る動き、たくさんのサイトからゲーム記事を引用するキュレーション系などです。その流れの1つとして攻略wikiがあったという感じですね。

自分は攻略系に未来は感じていましたが、企業でSEO強化をかけて検索のTOPに出し(この部分は全員同じだった)、他の攻略サイトから人をさらうという手法が「割に合うのか」と思いながら聞いていましたね。当時はアフィリエイト事情にも疎く、「攻略サイトは割に合わない」と思っていたので全部断りました。パズドラほどの規模ならまだしも、並のゲームでまともに攻略しようとしたら作業量に対するリターンがないと思っていました。あと、当時のシンプルなゲームでも1人で見られるのは2つか3つで、それ以上は責任を持てないという考えもありました。

その作業量に対する解決策として、「他のwikiからバレないようにパクる」というのを挙げている方はいました。どんな業界も最初はグレーゾーンからスタートして、業界が大きくなってから問題に対処していくというスタートアップ企業的な考え方です。そもそもとしてデータは事実ですから、同じ値になっても法律的に問題ないという言い分もありました。

その後、私は参加しませんでしたが、そういう流れの中で、ゲームに詳しい人間が雇われて管理者をして、ゲーム掲示板で詳しい人間を探してきて、バイトとして雇ってゲーム攻略サイトをいくつも運営する――といったサイトが出てきました。最初は時給で書いて、優秀なライターは上にあがっていくような形もありました。このへんがたぶん、今の企業攻略サイトのはじまりでしょうね。クラウドソーシングで発注するようなところも出てきて、このあたりはキュレーションサイト問題と構造がちょっと似ています。

 

パクってもバレない「攻略」の難しさ

―― トシさん自身も、記事の盗用(パクリ)被害に遭ったことがあるそうですが。

トシ:
自分がパクリに気付いたのは「ロード・トゥ・ドラゴン」の攻略Wikiをやっていたころでした。「ロードラ」は自分と弟の2人体制で、ガチでやり込んで攻略していたんですが、ある時自分たちと似た情報を載せているWikiがあるのに気付いたんです。ただ、そこはいつもうちより微妙に更新が遅く、だんだん「コピーしてるのでは?」と……。

それであるとき、ユニットデータにわざと1カ所ウソを混ぜておいたんです。そうしたら見事に引っ掛かった。ところがそれで問い合わせてみても返事がない。運営者も分からないし、問い合わせフォームや掲示板も連絡がつかない。結局、こんなことでは、もう個人では攻略は続けられないなと。

当時はゲームがシンプルだったため、攻略=データというところもあり、自分がデータを盗られる一方で他人がその上に乗っかって何かされるのを防げないのでは、今後続けていくのは厳しいな、と。

―― 今回、GameWithも他サイトからの盗用が問題になりました。GameWithに限らず、こういうケースは他にもあると思いますか。

トシ:
GameWithの場合は攻略MAPが動かぬ証拠になったから謝ったという感じでしょう。過去を全部あらったらどのサイトもきっと出てくると思います。なぜならよその攻略をパクっても普通はまずバレないし、検査する体制を作ることが難しいからです。データはすべて同じになりますし、スクリーンショットも機種が同じなら同じように撮れる。他所から盗っても多少切り抜きなどを行ってしまえば、完全に同じではなくなってしまう。そのとき、検査側は「この画像をライターが自分で撮ったのではない」ことを検査できるでしょうか。できませんよね。

私は実際、とある攻略サイトのクラウドソーシングに参加して小遣いを稼いでいる学生から、楽にページを作る手法として「イベントが始まったら他の攻略サイトからテキストと画像をコピペする」という技を聞いたことがあります。ソシャゲのイベント告知ページはスマホから直接コピー&ペーストできません。しかし、他サイトがテキスト化したものをコピー&ペーストするのは簡単で、一瞬で納品できるという技です。

1記事500円が最低保証(※このサイトはすでに500円で記事を募集していません)なので、短時間で作るために楽なページをやるというテクニックなのですが、イベント告知ページなんて全部同じようなテキストになるわけで、検査側も精査できていない。クラウドソーシングなどで記事を発注していると、そういったケースや、他サイトの文章を書き換えただけのもの、理論上はできるはずだが実際はプレイしていない攻略記事など、そういったものが出てくるかと思います。

ただ、これらは外部ライターの立場から見た話です。攻略サイトが会社として成り立ってきた昨今では、例えば社内チームに厳しいノルマが課されてコピーしてしまった……など、別の原因も出てきているだろうとは思います。

―― 実際、パクってもバレないものなんですか。

トシ:
攻略情報って「事実」だから、「攻略した同じ結果になった」と言われたらそれ以上追求できないんですよ。自分が関わっていたある企業サイトでは、「ほかからパクってくればいい」という指示が実際にありました。

―― うわあ……。

トシ:
昔、脱出ゲームの攻略を担当していたんですが、自分は脱出ゲームが苦手で1本攻略するのに1日くらいかかっていました。ところが知人に脱出ゲームの達人がいて、どんなゲームも最速で解いていくんです。その知人が運営している攻略サイトを指して「あそこ見て書けばいいじゃん、みんなやってるよ」と。もちろん完全パクリはまずいので、そこを見て攻略して、文章と画像は自前で用意するように、といわれました。攻略は事実だから、手順を見て試して、その結果が同じなら問題はないと。

―― なるほど、攻略記事の難しいところですね……。

トシ:
だから原理的にパクリを防げないんです。当時クラウドソーシングの募集で「ゲームライターのお仕事」で応募してみると、「脱出ゲーム攻略1本500円」とかゴロゴロあった。もちろん表向きのルールとしては「パクリは絶対ダメ」ってなっていますけど、実際1本500円で攻略しようと思ったらよそを見て書くくらいでないと割に合わない。

例えば、早く見積もって脱出ゲームを1本2時間で攻略して、さらに記事にしようとしたら4000円ぐらいもらわないと学生のバイトとしても割に合いませんよね。

―― 1日かけて攻略して500円では、確かに割に合わないですね。

トシ:
あと、そもそもバレても大して責任を問われないというのもあります。自分がやった「ミスを混ぜる」というのはわりと古典的な防衛手段(※)ですが、よほど問題にならない限り、企業本体を隠して運営していれば裁判になることもまずありません(裁判の手間の方が膨大になるから)。本体が上場企業だったり、有名企業だったりさえしなければ、私が「ロードラ攻略wiki」でデータをコピーされたときと同じく知らぬ存ぜぬで通せるでしょう。

※「トラップストリート」という手法。主に地図などの発行者が、パクリを防ぐために架空の道路などをわざと仕込んでおくこと

内部的にもせいぜい書いたライターが注意を受ける程度で、被害者側には何の補填もないというのが当たり前です。謝罪されても取られたアクセスは戻ってこないし、こうなると完全にパクったもの勝ちですよね。最低限、関わったライターの攻略記事を全部洗うぐらいはして欲しいと思うんですが。

―― バレても責任を問われにくいという点は、まとめサイトなどとも構造が似ていますね。

トシ:
もう1つ問題なのは、こういう企業型攻略サイトはSEO(検索エンジン最適化)がめちゃくちゃ強いこと。一生懸命攻略して、その内容をパクられた揚げ句、検索エンジンではパクリ側の方が上にきてしまう。「タイトル名+攻略」とかで検索したら、だいたい一番上は企業型攻略サイトですよ。二番目は5ちゃんねるとかのレスを拾ってつなぎ合わせただけのまとめサイト。

 

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情報源: ねとらぼ

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